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【要約・レビュー】闇経済の怪物たち〜グレービジネスでボロ儲けする人々〜

闇経済...?! 怪しそう...だけど、ちょっと気になる

こんにちは、ちょっとしたトリックやコツを知るのが好きなはやとです。
今回は、Twitterで某アカウント様が、これまでに役立った本をいくつか紹介されておりました。
その中で、個人的に気になった「闇経済の怪物たち〜グレービジネスでボロ儲けする人々〜」を読んだので、要約とレビューをしていきます。

「闇経済の怪物たち」の構成と概要

本・著者の紹介

闇経済の怪物たちは、ノンフィクション作家・ジャーナリストの溝口敦さんが書かれた、グレービジネスでボロ儲けしてきた9人への独自取材を経て書かれた本です。

本のページ数としては、240ページの文庫本となっており、3時間程度で読める内容となっております。

本の目次

全部で9章+あとがきで構成されており、1章あたり1名が登場する形です。

具体的な内容は下記となります。

闇経済の怪物たちの目次

・第1章:「裏」情報サイトの先駆者
・第2章:出会い系サイトの帝王
・第3章:堅気のデリヘル王
・第4章:危険ドラッグの帝王
・第5章:日本一のイカサマ・カジノディーラー
・第6章:FXの帝王、仮想通貨に挑戦
・第7章:六本木の帝王と関東連合
・第8章:詐欺の帝王の新事業
・第9章:ヤクザ界の高倉健
・あとがき

「闇経済の怪物たち」の要約

早速、本の要約に入っていきます。

はじめに

グレービジネスは隙間産業であり、誰もが手を出せる産業ではない。
例えば、上場企業などはコンプライアンス観点より参入できなかったり。

しかし、アダルトコンテンツを始め、人間の欲望として尽きない需要がある産業があるのも、また確かです。

そのような中で、人間の欲望を察知し、その欲望と需要に応えるサービスや物材を提供して稼ぐのが、この本で言われている「グレービジネス」です。

グレービジネスは倫理なき現代社会の代表的現象であり、とにかくカネを握ったものが勝ちという資本主義の局地のような世界です。

第1章:「裏」情報サイトの先駆者

人間の好奇心は尽きないもの。その好奇心を満たす情報を、インターネットが普及し始めた初期より提供始めたのが「劇裏情報」というサイトです。

成功の理由は、サイト運営者が語る通り、普通の人がカネをはらっっても知りたいと思う情報の提供サイトをいち早く立ち上げたことに尽きます。

第2章:出会い系サイトの帝王

ひょんなことより、後輩が作成した「出会い系サイト専用のサクラ返信システム」を見栄で購入したところから始まります。

このシステムは、サクラを使わず、出会い系サイトのメッセージに対して自動返信を行うシステムです。

具体的には、事前に多種多様なメッセージに対する返信メールをストック、返信メールの内容を自動的に認識・分類し、それぞれに対応するメールを自動送信するものです。 (今はAIにメッセージを学習させることで、より高度なシステムができる気がしますが、当時はルールベースで作られたんだと思います。)

これらを使い、大儲けした例が登場しました。

第3章:堅気のデリヘル王

風俗に働きに来る子は、精神の病を患っている子も多いそうです。

特に風俗で働く子は、最近でこそ変わってきたとも言われておりますが、何かしらの事情を抱えており、自分の居場所を探している子も多いです。

そこで、女の子が居心地が良いようにするのが仕事と考え始めたことで、女の子がお店に集まるようになり、地域で1番のグループまで成長しました。

結局、人間対人間の仕事
女の子にとっては、その店が、自分がお金を稼げるシステムになっているか。そうでなければ、店長と言う人に人間的についていけるか、この2つしか見ていないのです。

欲望のあるところ強力な需要があり、有望なマーケットがあると言うこと。需要なきところに財やサービスをの供給をしたところで、枯れ木に水では張り合いがない

第4章:危険ドラッグの帝王

2010年代半ばごろ、毎日危険ドラッグについてニュースになっていた時期がありました。

その前は、製造、販売、使用ともグレーであり、違法ではありませんでした。

その時、この帝王は、他の人が輸入・卸のような動きをする中で、ドラッグの質が低いことに気づきました。

そこで、自ら知識がないところから、化学式などを学び、中国の工場で品質管理も徹底しながら、品質の高い危険ドラッグ(当時は脱法ドラッグなどと呼ばれていた)を生み出しました

これらが大当たりし、ある意味独占的状態に。

その後は、法律の改正などもあり、危険ドラッグの市場は壊滅してしまいましたが、その世界では一世を風靡した存在となったようです。

第5章:日本一のイカサマ・カジノディーラー

日本には知られていないが、マンションの1室などで開かれる闇カジノが多数存在しています。 (そもそも、それらが驚きですが)

そのような店舗は、場合によっては様々な仕掛けがされており、絶対にお客様が負けるようになっているとのことでした。

その仕掛けについて、赤裸々に語られておりました。
1つ紹介すると、ディーラーともう1名の店員がタッグを組み、事前にディーラーはポケットに携帯左右それぞれに仕込ませておきます。

ゲームが始まると、監視役の店員がお客様が持っているカード内容に応じて、ディーラーのいづれかの携帯に電話をかけ、バイブレーションによりディーラーに有利に働くように指示を出していたのです。

その他にも、天井に隠された秘密やカメラの仕掛けなど、色々とありました。興味がある方は、ぜひ本を手に取っていただければと思います。

第6章:FXの帝王、仮想通貨に挑戦

アメブロにFXの実践を忠実・詳細にレポートするブログを書き始めた帝王。ブログに嘘は書けず、帝王の戦いぶりは華々しく、FXカテゴリのランキングの1位をとった実績も。

そんな帝王は、最初はDVDの違法コピーや開運招福グッズを販売し大儲け

その後、統計学とパソコンを独学で学び、競馬で月4,000万円~5,000万円を稼ぎ出したのです。またFXも独学し、1週間で3億円を稼いだことも。

最近では仮想通貨についても独学し、色々と仕掛けているようです。

第7章:六本木の帝王と関東連合

半グレとして、世の中に名が知れた「関東連合」。そのメンバーを束ねていた多田さんという方が登場します。

仕事の取り方や信頼の作り方など、実際の具体例から学べることが多い章となっております。

この多田さん、実は元横綱の朝青龍の引退にも関わっており、色々とある方のようです。

第8章:詐欺の帝王の新事業

最初に紹介されるのは、「金」を国際移動させることで(脱税という形で)利益を生み出す話

具体的には、香港で100万円で売却できる金を、日本に持ち込んで売却する場合、消費税を乗せて売ることになるので、消費税8万円が加算された状態で売却できるのです。

当然、税関で申請をし、消費税を追加支払いする必要があるのですが、税関の眼をくぐり抜ける組織的な人材活用で大金を稼いでいたようです。

その後、貸付金の回収なども行う中で、複数のグループで貸付金の回収率を競い合うようになっていきました(仕組みとして)。

そこで、あるグループが回収率を高めるために始めたのが「オレオレ詐欺」であり、始まりでした。

第9章:ヤクザ界の高倉健

この章では、具体的な話というよりは、ヤクザとしての心構えなどが語られています。

その中でも、以下のような内容は、学びになります。

ビジネスに通ずる心構え

・まず朝早く起きて、やりたくないと思った仕事から始める。
・シノギに当たっては、最悪の事態を覚悟する。
・いろいろな変化や条件を想定しながら仕事に臨む。
・どんな事態になっても、我が身に引き受ける気持ちがあれば解決していく。

あとがき

グレービジネスもオモテのビジネスもいかに顧客に満足してもらい、長期にわたって安定的に多く稼げるか、を目的にしていることは変わりません。

グレーは新規ビジネスに対する着眼と企画の点で、オモテの発想と限界を超えてくるため、1つの参考にしてほしいと、著者は語っております。

「闇経済の怪物たち」のレビューと一言

内容によっては、完全に「クロ」だ...という内容もありました。

ただ、あとがきにもある通り、着眼点や発想、スピード感や実行力、人間関係などは、「オモテ」の世界でも十分に参考になる内容でした。

また、共通して言えるのはグレービジネスから始まり、徐々にシロに向かっていく姿である。なんだかんだ言って騒ぎを起こすのを嫌い、かなり慎重に根回しなどを行っている部分は、リスクヘッジの観点などでも学べるかなと思います。

最後になりますが、自分が知らない世界を垣間見た(まさに1章で登場する)知的好奇心を満たすという内容となっており、サクサクと楽しんで読むことができました。

実際に事業を立ち上げることを考えている方や、グレービジネスの一片を見たい方にはおすすめの1冊となっております。