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INFORICH(インフォリッチ)の成長を読み解く!売上・株価の推移は?

2301_INFORICH企業分析のアイキャッチ画像

スマホの電源が50%切ると不安になる...

今回はコンビニや商業施設を中心に、モバイルバッテリーのレンタルを行っているChargeSPOTを運営する『INFORICH(証券コード:9338)』の企業分析を行います。

業務提携の上手さが際立つ分析結果になりましたが、今後の成長性はいかに...?!

INFORICHの概要

inforich_事業概要

引用:企業HPより

日本初のデジタルサイネージ搭載モバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT」を展開しています。

inforich_ChargeSPOT紹介

引用:企業HPより

サービスの特徴は『どこでも借りれて、どこでも返せる』ことです。

inforich_ChargeSPOTの全国展開

引用:https://app.chargespot.jp/map/

日本国内に35,000箇所以上のバッテリースタンドが存在し、北は北海道から南は沖縄まで、離島を含めあらゆるところで展開されています。

INFORICHのビジネスモデル

inforich_ChargeSPOTビジネスモデル

引用:企業HPより

ビジネスモデルとしては、複数のキャッシュポイントを生む事業構造となっています。

キャッシュポイント

(1)一般ユーザーへのモバイルバッテリーのレンタル利用料
(2)事業会社へのバッテリースタンドでのデジタルサイネージ(広告)への広告掲載料

inforich_ChargeSPOT費用構造

引用:企業HPより

お金の流れとしては、レンタル料・広告掲載料以外だと、
・一部設置店舗への設置料の支払い
・設置場所を紹介してくださった代理店へのインセンティブ支払い
・モバイルバッテリー・バッテリースタンドそれぞれの製造費用
が主なものとなります。

INFORICHの沿革

inforich_沿革

※各種資料より、独自に作成

ここからは、資金調達とChargeSPOT設置箇所の推移を見ていきましょう。

資金調達先やChargeSPOTの増加スピードを見ることで、企業の戦略や提携などが見えてきそうです。

資金調達の動向

2019年12月 30億円の資金調達

inforich_30億円の資金調達 2019年12月に30億円の資金調達をされています。

主な調達先はゴールドマン・サックス、日本郵政キャピタル株式会社、GMCMベンチャーキャピタルパートナーズ、チャートウェル キャピタル、株式会社ホリプロとのこと。

ここで気になったのは、ホリプロ。え、あの芸能事務所のホリプロですよね...?

inforich_ホリプロ提携 2020年7月にホリプロデジタルエンターテインメントとタレントを活用した広告パッケージの提供を開始しており、こちらが目的だったのでしょうか...?

2020年3月 10億円の資金調達

2020年3月には電通・MCJから10億円の資金調達を実施しております。

電通はデジタルサイネージの販売を含む広告周りでの連携の意図だと思うのですが、マウスコンピューターを傘下にもつMCJがなぜ参画しているのかやや気になりますね。

初回の資金調達に比べて、出資背景なども記載されておらず、関係性作りなどの意味合いが強そうです。

2021年4月 23億円の資金調達

inforich_地銀系VCからの資金調達 2021年4月には地銀系VCより23億円の資金調達を実施しております。

こちらは地方都市・店舗へのチャージスポットの設置拡大が絡んでいそうです。

特にChargeSPOTの設置場所見ると、こんなところにまで?!という場所に設置されているのは、地銀の地元との関係性の深さも関係してそうです。

2021年11月 59億円の資金調達

inforich_累計108億円の調達 2021年11月にはVCやSBSホールディングスなどから過去最高の59億円の資金調達を実施しております。

SBSホールディングスが入っているのは、設置場所拡大に伴う倉庫・物流機能が重要になってくるためでしょうか。

バッテリースタンドの数の推移

inforich_バッテリー設置台数

引用:企業HPより

資金調達と合わせて、適宜バッテリースタンドの数も公開しておりました。
※上場時に月次のバッテリースタンドの累計設置台数を公開したので、今回はそちらを掲載

面白いのは、2021年9月ごろにバッテリースタンドの設置台数30,000台を超えたあたりから、バッテリー稼働率が10%弱から20%~25%へ急改善

inforich_フライホール効果

30,000台当たりで何らかのブレイクスルーが発生していますね。ここは面白い。

今後の更なるフライホール効果に期待です。

重要な契約等

セブンイレブンへの設置

inforich_セブンイレブンとの締結 引用:企業HPより

2020年9月30日に覚書を締結し、2021年6月16日に合意書を結んでおります。

INFORICH、ティーガイア、セブンイレブンの3社間合意となっており、2021年6月28日より全国の一部7,000店舗のセブンイレブンへChargeSPOTの設置が始まっています。

バッテリー設置台数_2021年9月 引用:企業HPより

確かに、バッテリーの設置台数で2021年9月ごろにグッと引き上がっているところがありますね

全国展開への強い味方・光通信

inforich_INEST

参照:株式会社光通信および株式会社INFORICHとの合弁会社設立のお知らせ

さらに2022年2月14日にはINFROCIH、光通信及びその子会社のINESTで合弁契約が結ばれ、2022年2月28日にINFORICH MARKETINGが設立されています。

INESTが総販売代理店として、全国の販売代理店の管理を行っていく形となっています。

INFORICHの売上・営業利益・営業利益率

主要KPIと推移

inforich_主要KPI

まずは主要KPIです。バッテリースタンドの設置台数とモバイルバッテリーのレンタル件数が主要なKPIとなります。

設置台数は一定のレベルに達したのか、成長率は落ち着いてきているものの、レンタル件数はブレイクスルーしたことで前年比2倍以上の成長をしています。

またアクティブユーザー数が同様に前年比2倍以上の82万人となっており、1アクティブユーザー当たり月に1.9回程度利用している状況です。

inforich_売上・営業損益

売上は前年比3倍で成長しており、営業損益の赤字幅も縮小傾向にあります。

ただいまのペースで行くと、黒字化は5年後ぐらいになりそうですね。

財務状況(PL/BS)

inforich_PL

PLはこんな感じ。圧倒的に販管費が多く、売上高成長率を維持しつつ販管費をどこまで圧縮できるかがポイントになってきそうです。

inforich_販管費の内訳

1番金額が大きいのは地代家賃ですね。こちらはバッテリースタンドの設置料だと思います。ここはなかなか減らしていくのが難しそうです。

2番目の給料は減らせず、3番目の業務委託費は、販売代理店へのインセンティブでしょう。こちらも削ることは難しいと思います。

となると、やはりキャッシュポイントをいかに増やせるかな気がしますね。

inforich_BS

続いてBS。まず目を引くのは、純資産の多さです。

これは大型資金調達を繰り返しているからでしょう。また資産の部では流動資産が多く、流動比率は243%と安全目安の120%を大きく超えており短期的な資金繰りは問題なさそうです。

主要株主

inforich_主要株主

引用:企業HPより

意外と社長の所有株式比率が低いですね。1%以上保有している株主構成を見ても偏りがなく、広く薄く資金を集められている印象です。

年収

inforich_年収

引用:企業HPより

従業員数は93名で平均年齢は34.8歳、平均勤続年数は1.8年、平均給与は537万円です。 ※連結では従業員数は153名

従業員数の増加が平均勤続年数を押し下げているため、組織的にも問題はなさそうです。

inforich_従業員の構成

引用:採用ピッチ資料

平均年齢からも分かりますが、30代・40代が半数以上と多く在籍しており、男女比率も6:4で、外国籍の方も18%居るということで、多様性の高い組織となっていそうです。

職種比率
営業 62%
企画・事務 17%
技術 21%

営業がやはり多いですね。代理販売だけでなく、直販にも一定力を入れているようです。

直販が大規模法人やエンプラ、販売代理店がSMBという棲み分けでしょうか。

成長の秘訣・ビジネスの面白さ

ここからは、INFORICHの成長の秘訣やビジネスモデルの面白さを見ていきます。

営業

重要な契約・提携でも記載しましたが、セブン・イレブンとの契約で一気に7,000箇所を獲得できたのは非常に大きいと思います。

コンビニに行けば、取り敢えずChargeSPOTがある

という認知が取れる効果は、非常に大きいと思います。

また営業最強集団の光通信子会社、INESTを中心とした販売代理店の活躍がバッテリースタンドの拡大に影響していそうです。

inforich_設置負担

引用:公式HP

ちなみにバッテリースタンド自体は無償貸与され、メンテナンス含めINFORICH側が行うため、事業主としては電気とスペースを提供するだけという手離れの良さも拡大に影響していそうです。

物流

どこでも借りれる・返せる系のシェアリングサービスの特徴として、特定場所に商品が集中してしまうことです。

inforich_spotwork 引用:SpotWORK公式

これらを解消する方法として、個人的に面白いなと思ったのは、SpotWORKという「スキマ時間を活用し、業務委託契約によって、自分のペースで仕事を行うことができるクラウドソーシングサービス」を提供している会社と連携し、モバイルバッテリーが過剰な箇所から不足している箇所へ移動を行なっている点です。

また(恐らく)新規のバッテリースタンド設置場所の申請があった場合、このSpotWORKで契約した業務委託に物件写真を撮影してもらい、設置するかの可否の参考としているようです。

バッテリー移動は1つあたり75円、写真撮影は1件あたり1,000円〜2,000円程度です。

[inforich出前館移動 :w500]
[inforich
出前館移動図 :w500] 引用元:がっちりマンデー公式note

それ以外に、出前館とも提携し、出前館のドライバーもモバイルバッテリーの偏り解消のためにバッテリー移動を手伝っているようです。

今後の成長可能性

inforiich_成長可能性

引用:企業HPより

今後の成長には、 (1)国内稼働率を現在の27%から高めていくこと (2)グローバルでの拡大 (3)新たなキャッシュポイントの創出 がポイントになります。

稼働率の上昇

inforich_バッテリー稼働率

学習院大学との実証実験では、設置粒度を調整することで最大45%まで稼働率を高められるようです。

現在の27%からの引き上げで、現実ラインとして35%程度などまで上げられるのではないでしょうか。

グローバルでの拡大

inforich_SOM

国内MAUは47.8万人であり、SOMは1,161万人です。ここから約24倍の拡大余地がありますが、より拡大するためにはやはりグローバルの成長が鍵になってきそうな気がします。

仮に15歳から44歳までの人口の5%がChargeSPOTを利用するとした場合、ざっくり4,000万人×5%の200万人がMAUの限界ではないかなーという気がします。

本当にざっくりですが。今のMAUの4倍取って赤字解消されるか...?と言われると、やや微妙な気はします。

inforich_グローバル展開

引用:企業HPより

まずは台湾や香港、東南アジアなど人口密度の高い地域での拡大が期待されます。

日本の空港で借りて、海外の空港や街中で返すなどの世界観もできたら良さそうです。

新たなキャッシュポイントの創出

ChargeSPOTの魅力として、既に電源が供給されていることと、一定の人通りがある点です。

空間をうまく利用することで、新たなキャッシュポイントを生み出せる可能性を秘めています。

inforich_ビーコン

引用:企業HPより

ChargeSPOTにビーコンやカメラを設置することで、人流データ・属性データの収集が可能になります。

これらのデータ販売やデータを利用したターゲティング広告の配信など様々な利用方法があり、このビーコン周りは先日上場したunerryなどが得意分野としており、連携などもありそうです。

inforich_5G

また基地局としても使えるでしょう。

4Gに比べて通信距離が短いと言われている5G。5Gの基地局をChargeSPOT内に置くことで、新たな収益源ともなりそうです。

基地局の拡大に注力している楽天などと組むことなどもありそうです。

株価・時価総額・株主優待・配当利回り他

ここからは投資観点でも見ていこうと思います。 ※2023/01/22時点

株価の推移

inforich_株価

引用:株探

2022年12月20日に上場しましたが、初日は初値が付きませんでした。

翌日、公開価格(4,600円)の2.3倍となる10,510円でスタートしました。その後は、10,000円前後で推移しています。

8.800円〜11,200円の間でスイングしていますが、どちらかに抜けると大きく動く可能性があります。

時価総額

時価総額は190億円前後で推移しています。

営業利益が赤字であり、具体的な黒字化の目処がまだ見えていないため、売上高成長率の鈍化や営業利益の黒字化の目処が経たない場合は、より下げていきそうな展開ではあります。

株価指標(PER・PBR)

PER(株価収益率) -倍
PBR(株価純資産倍率) 7.54倍

当然赤字なので、PERは無く、PBRは7.54倍となっています。

経営効率(EPS・ROE・ROA)

EPS(一株当たり当期純利益) -
ROE(自己資本利益率) -
ROA(総資産利益率) -

赤字なので、こちらの数値もありません。

配当利回り(配当金・配当利回り・配当性向)

全て0です。

まぁ赤字なので、当然です。

株主優待

現在は株主優待もありません。 いずれは、ChargeSPOTの無料利用クーポンなども配られるなどは考えられそうですね。

まとめ

INFORICHについて、沿革からビジネスモデル、これまでの成長までまとめてきました。

やはり光るのは、他社(特にリーディングカンパニー)との連携の強さです。これは経営陣の戦略や人脈によるものなのか、非常に引き続き注目したいところです。

一方で、シェアリングサービス全般で類似していますが、toCからのキャッシュポイントでは赤字を脱すのが難しい場合が多く、ChargeSPOTの場合もやや黒字化は見えづらい状況です。

今後、ビーコンや5G基地局によるtoBからの安定収益が生まれてくると一気に黒字化してくる可能性もあるため、引き続き動きがありましたら更新していきたいと思います。

そういえば、各種資金調達の掲載文章を読まれた方は気付いたと思うのですが、ChargeSPOTの設置台数の目標が2021年に5万台、2022年に8万台、2023年に10万台って書かれているんですよね。

ただ、2023年1月時点で3.5万箇所なので、大幅ビハインドということでしょうか。ここは気になりどころ。

お読みいただき、ありがとうございました。 シェアやいいね!などお待ちしてます!!

決算書の読み方などは、下記の本がおすすめです。