【PDF付き】InternetTrends2018,インターネット白書を読んでまとめてみた!
インターネットの流行を知りたい人にとっては、最高の資料だと思います!
先日発表された、
「Internet Trends 2018」
ですが、これはモルガン・スタンレー証券のアナリストで、インターネット分野における第一人者と言われているメアリー・ミーカーさんが毎年発表するものです。
スライドの枚数は294枚と多いものですが、インターネットに関するあらゆる分野がまとめられています。
今回は、それらを大まかにまとめた上で、注目スライドを紹介していきたいと思います。
InternetTrendsの要約
公開されているスライドがこちら。
PDF版はこちら。
internettrendsreport2018-180530164809.pdf - Google ドライブ
- インターネットの利用人口は、全世界人口の50%に当たる36億人に到達
- デバイス(スマートフォン)はより良く、早く、安く
- アプリは誰でも使える分かりやすいデザインに
- オンラインとオフラインの垣根はより低く
- メッセージアプリの台頭とともに、動画関連アプリも急拡大
- 音声技術、パーソナライズ技術の発達
- E-Commerceはますます拡大し、AmazonとAlibabaがより人々の生活に不可欠なものに
- 物を検索する第一ステップとしての検索エンジンは、Amazon > Google
- GoogleとAmazonはお互いのビジネス領域に進出
- インターネットの普及により、CPI(消費者物価指数)を下げる結果に(コストカット)
- 生活必需品や余暇に使う金額が減り、年金・保険・医療への投資が増加(アメリカの場合)
- テクノロジー普及速度の進行
- 雇用形態・仕事への価値観の変化(フリーランスの増加)
- クラウド利用の増加と、データの集中
- 世界経済の勢力変化と、中国の台頭
- 決済手段の変化
- IT企業の研究開発費の特質性
- 企業内のインターネットツールの浸透
などなど、箇条書きにするとこんな感じです。
より詳しく確認したい方は、上のスライドか、次の段落の写真付きの重要ポイントチェックをご参照下さい!
写真と共に重要スライドを詳しくチェック
InternetTrends2018はかなりの量のスライドになりますし、英語です。
ここでは、特に重要なスライドを写真付きで掲載しながら、簡単に説明していきたいと思います。
全世界におけるスマートフォンの出荷台数は2009年から右肩上がりで増えていましたが、2016年をピークに減少に転じました。
成長率は、最も高い点では70%を超えていましたが現在はほぼ0%成長ということで、ある程度需要が一巡した事が考えられます。
それにしても年に15億台のスマートフォンが出荷されているのは凄いですね。
買い替え需要と新規取得の割合が変化していると思いますが。
気になるのはAndroidの伸びで、新興国を中心に圧倒的な伸びを見せている事が推測されます。
また、いつの間にかiOSとAndroidの2強になってます。
インターネットの利用率は、全世界人口の50%に当たる36億人が使用している事になります。
先進国はインターネット利用率が80%を超えていますが、世界的に見るとまだまだ開拓の余地がありそうです。
スマートフォンの出荷台数の伸びに比例して、1日の中でのインターネット利用率も伸びています。
ここで注意したいのは、このグラフには仕事時間中にインターネットを利用する時間も含まれているため、完全なプライベートのみの時間ではない事です。
日本では圧倒的なシェアを誇るiPhoneですが、3枚上の写真でも分かる通りスマートフォン全体に占めるiPhoneの割合は20%未満です。
日本ではよくiPhoneが高い事などが記事になりますが、大手キャリアの割引などであまり高い事に実感はないと思います。
しかし、世界的に見るとスマートフォン(iPhoneXの場合)が1000ドル近いというのは、圧倒的に高いです。
年々スマートフォンの価格は下がっており、$300程度が一般的になっています。
また最近では、インドで6000円程度のスマートフォンが爆発的に売れているとか。
アプリのデザインは、シンプリで分かりやすいものに変化しています。
その理由は、教育水準があまり高くない人でも使えるような直感的なデザインがユーザーの利便性を上げることに繋がるからです。
Googleなどもそうですが、説明書がなくても使い方が分かる。究極的にはこの状態を目指しているのだと思います。(ある意味Googleの検索画面は、誰でも使える)
このInternet Trends2018は主にアメリカと中国が中心に語られています。
中国では、急速にQRコード決済が普及しており、ホームレスがお金をせびる時にQRコードを見せてくるとか。
また昨年日本でも大きく話題になった仮想通貨。
世界最大級の仮想通貨取引所である
「Coinbase」
も、ユーザーを着実に伸ばしています。
おそらくこの中には、日本人もかなり含まれている気がします。
こちらは最近流行りの、地域交流型SNS
「Nextdoor」。
利用用途としては、情報交換や、引越しの際の家具の売買などに利用されることも多いと、アメリカの大学生に聞きました。
QQとWeChatとは中国限定のSNSです。
中国ではGoogleをはじめ、FacebookやTwitterは利用できません。
その代替として、QQやWeChatなどがあります。
こちらも大変利用者が増えていますが、気になるのはTwitterの伸びが鈍化していることですね。
Twitterのアクティブユーザー数が伸び悩んでいることで、Twtitter社の株価は下がり続けていましたが、最近になってまた復活してきています。
(トランプ大統領の影響も?)
デバイスが変わり、スマートスピーカーに移ります。
はい。Amazon Echoですね。
圧倒的な価格競争で市場シェアを席巻しています。
Amazon Echoはスキル(スマホでいうアプリ)をインストールすることで、色々なことが出来るようになります。
利用者の増加に伴い、スキルのリリース数もうなぎ登り。
こちらはGoogle。
音声認識の正確性が向上し、95%に到達したみたいですね。
僕はAmazon Echo Dotは持ってるのですが、Google Homeは持ってないので今度買おうかな。
こちらはスマホに戻って、月間の利用者数とアプリ画面一覧ですね。
Facebookが圧倒的で22億人。
次に気になるのが、Pinterests。
月間2億人が利用する「Pinterests」ですが、日本ではあまり馴染みがないですよね。
アメリカでは大学生を中心に、インスタと同じぐらい流行ってるそうです。
これは株に関係する話ですね。
2000年前後でNASDAQが急激に上下しているのは、インターネットバブルとその崩壊ですね。
しかし、その当時の最高値を2015年に突破し、2017年から一歩突き抜け、まだ見ぬ天井に向かっています。
こちらは、アメリカのトップ15位に入ってる企業の研究開発費の対前年比伸び率です。
GAFAと呼ばれる、
「G=Google(正確にはAlphabet)
A=Apple
F=Facebook
A=Amazon」
巨大テックカンパニーがありますが、そこの開発費用の伸びる率は、他の産業の追随を許しませんね。
AmazonとFacebookに関しては、40%超え。
これも、テックカンパニーの利益率の高さが成せる技です。
こちらは、Amazonとそれ以外のE-Commerceのシェアを表しているものです。
どちらもパイは大きくなっていますが、市場シェア率の差は縮まっています。
Amazon一社と、それ以外の差がこれほど縮まっているのはもはや脅威。
小売業を脅かすAmazonですが、巨大テックカンパニーのGoogleともしのぎを削っています。
何か欲しい商品を探す時に、まずはじめに使う検索エンジンがGoogleではなく、Amazonの方が多くなっています。
これにより、Amazonはより消費者の消費性向を理解することができます。
それによって集めたデータをもとに、広告を出稿するとか、リコメンドを作るとか。
Amazonは小売業のため、どうしても人々の生活に直接関わってくるものを提供しています。
そのため、Amazonが伸びれば伸びるほど、Amazonに依存する世界が来るのではないかと。
巨大テックカンパニーのGoogleとAmazon。
お互いに最初のビジネスは全く異なるものでしたが、徐々にお互いの分野を奪い合う形になっています。
Googleの場合、広告掲載による掲載料を貰うビジネスモデルから消費者プラットフォームを握る戦略に。
Amazonの場合は、消費者プラットフォームを握った上で、そのプラットフォームを生かした広告や、Amazonの洗練された販売ページ枠の販売(ある意味広告)へと戦略を拡大。
Googleの検索エンジンでは、商品を検索すると上位にAmazonの商品が掲載されます。
であれば、最初からAmazonで探した方が早いし、比較しやすいですよね。
今後2社がどのような戦略を取っていくのか気になります。
そのFacebookも広告掲載によってビジネスを成り立たせていますが、その広告のE-CommerceにおけるCTR(クリック率)の推移です。
2016年の第一クオータでは1%程度だったCTRが2年で3%まで上がっています。
これは恐らく広告を掲載するアルゴリズムの改変によって、徐々に改善されたものだと思いますが、Facebookにとっても広告掲載企業に取ってもこれは嬉しいことです。
クリックされることでFacebookにはお金が入り、クリックされた企業はそこで購入してもらえる確率が高まるからです。
日本でも最近普及してきたサブスクリプションモデル。
継続的にお金を払うことでサービスを享受できるモデルですが、最近では低価格でそれらを提供するサービスが増えていきています。
その筆頭がSpotifyでしょう。
つい先日、アメリカで上場された音楽ストリーミング配信サービスですが、日本でも利用者が急拡大中です。
またテレビ離れを引き起こしている原因の1つとも言われているNetflixなどもこのサブスクリプションモデルの1つです。
ここにもAmazonの文字が笑
Amazon Prime VideoやAmazon Musicなど、Amazon Primeに含まれているサービス全体もサブスクリプションモデルです。
最強に思えるAmazonですが、実は展開している国はそう多くはありません。
基本的には先進国と最近インドに参入しました。
中国は規制もあり、Alibabaという中国版Amazonが台頭しています。
上のスライドは、AmazonとAlibabaを比較したものですが、提供しているデバイスやサービスはやはり似ています。
こちらは、各広告メディアに対して人がどれくらいの時間を使っているのかと、広告投資をどの程度やっているかの割合を出しているものです。
基本的に、物事においてギャップがあるところを埋めることによって利益を生み出すと聞いたことがあります。
それらを元に考えると、当然消費時間が増えているモバイルに対しての広告費も増えます。
次はGoogleとFacebookの社会的責任に関係する数字の一覧です。
特に注目すべきは、一番最後の部分のContent Moderatorsです。
こちらは不正動画・不正投稿を削除するための監視役的なものになります。
AIや画像・動画解析に多額の投資を行っている2社ですが、最終的にはやはり人海戦術で不正投稿を消すことになります。
ここは表現の自由と表裏一体の部分なので、かなり慎重に扱わないと言論弾圧の印を押されてしまうので、特に配慮されているでしょう。
こちらはどのセグメントにお金を使っているかを、1972年、1990年、2017年で比較したものになります。
特に、Shelter(ここでは家賃に当たります),年金・保険、健康により投資するように変化しています。
一方で、食べ物、余暇、服装に対しては投資額が減っています。
これらからわかるのは、先ほども出て来ましたが、インターネットによって消費者物価指数などが下がる一方で、政府の政策などの影響もありながら、より未来への投資が増えています。
このようにオンライン・オフライン共に消費者と商品(特に生活に必要な商品)が出会う時の価格は値下がり傾向にあります。
他方、Shelterへの投資が増えていた理由はこの写真から理解することができます。
アメリカにおいて、1972年から約45年で1つの家に住む住人の人数は減少。
新たに家を購入する際にはより広い家を求める傾向があります。
このように、少人数でより広い家に住むことを望んでいることが考えられます。
こちらはAirbnbによって、各都市ごとの宿泊代の平均の変化を表しています。
特に特筆すべきは、東京で他の都市に比べて圧倒的に平均宿泊費が安くなっています。
これらは、日本のホテルのサービスの高さによって高くなっていることも考えられますが、それらを求めない場合は非常に安く泊まれることがわかります。
ここからは技術革新の普及の年代と、その速さを表しています。
1990年代以降新しい技術が特に頻発して起こり、それらが今まで以上に早いスピードで世界に普及することが見て取れます。
などにれは、各技術がアメリカ国内において25%の普及率を達成するまでの期間を表しています。
ラジオなどは25%普及に30年近くかかっていたものが徐々にPC,スマートフォンと現在に近づくにつれて普及スピードが上がります。
インターネットに関しては、7-8年で普及したことがわかります。
イノベーション理論に基づくと、普及率が16%を越えると一気に普及するポイントをキャズムと言うのですが、それらを越えるスピードが速くなっていることが理論的にもわかります。
AIによって仕事が奪われたり、ロボットによって人が代替されると言われていますが、上の写真からも分かる通り新しい技術が出てくることによって新たに生まれる雇用もあります。
今回の場合は、農業とサービス業を例に挙げていますが、仕事が無くなる事よりも重要なのは、
「変化のスピードが早くなっていること」
というのを忘れてはいけません。
産業や職業の変化によって、働き方も大きく変わろうとしています。
アメリカでは一般的になってきたフリーランス。
すでに全労働人口の4割近くがフリーランスと言われています。
また日本ではフリーランスはまだまだ受け入れられていませんが、アメリカではかなり主流の働き方になってきています。
特に日本の場合は、フリーランスはライターやエンジニアが中心ですが、アメリカでは記者などが最もフリーランスとしては有名です。
こちらはクラウドの普及を、消費額によって表しています。
各社のクラウドによる利益が増えているということは、これらも一般的に普及し始めているということです。
特にAmazonが提供するAWSの成長率は群を抜いています。
こちらは現在世界の時価総額のトップ20です。
2013年と2018年の比較ですが、なんと中国はこの5年で7社も世界top20に入ったのです。
恐ろしいほどのインターネットの普及スピードですね。
これはQRコード決済を都市部の人は9割が使用したことがあると言われるのにも納得がいきます。
こちらはインターネット動画等を利用した学習に対する増加を表しています。
毎日10億回、勉強系の動画が視聴されています。
また動画による学習によって、職場・学校・趣味の問題を解決しようとしています。
こちらはフリーランスと、ノンフリーランスを対象に過去6ヶ月に技能研修(勉強)をしたかどうかを聞いたものになります。
日本でも自己啓発本などが連日ヒットしていますが、アメリカではより自己投資を行う人が多いです。
そしてその中でも、フリーランスは自らのスキルが収入に直結する場合も多いです。
そのため時代の変化に取り残されないように、より自己を磨く努力をしている事が伺えます。
こちらは中国においてどのようなサービスが利用されているのかをシェア率で表した円グラフになります。
この2年でビデオが特に伸びています。
これらは回線速度の向上やwifiポイントの増加、スマホの性能向上などが関係しています。
日本でも話題になっているTiktokなどは動画アプリの代名詞とも言えます。
日本ではDeNAから生まれた「SHOW ROOM」なども流行っていますが、Tik-Tokの普及スピードは目を見張るものがあります。
かなり初期から何度か利用していたのですが、ある程度インフルエンサーを囲った上で一気に広告をウザがられるほど打つ事で、逆に多くの人を引き込んだマーケティングの成功事例だと思います。
実際にYoutubeに広告がなんども流れたことによって、Youtuberなどがそれに便乗して動画を投稿することで指数関数的にユーザーが増えた事が利用している中で感じました。
まとめ: Internet Trends in 2018はインターネットの流行を理解するのに最適!
さて、ここまでかなり長く話しをしてきましたが、特に気になる方は一次情報をチェックしてみてください。
あくまでも今回の解説は僕が普段学んでいることなどを元に、つらつら書いているだけなので間違ってたらごめんなさい。
それでは、長くなりました、ありがとうございました。