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なぜ「戦略」で差がつくのか。【書評】

戦略,strategy

  • 全社戦略
  • 経営戦略
  • マーケティング戦略

など様々な戦略という言葉を聞きます。

しかし実際にその「戦略」についてどこまで理解してしますか?

「目的」「理念」「ヴィジョン」「計画」などと混同していませんか?

今回は、戦略の定義から戦略の必要性から実際に戦略を考える際のポイントまでを紹介していきます。

  • 会社で戦略策定に関わってる人
  • 自分の人生戦略を考えたい人
  • やりたい事が沢山あって困ってる人

このような人にオススメの本です。

この記事を読むことで、以下の5点を得ることができます。

押さえるべきポイント

・戦略とは「目的」達成のための「資源」利用の指針
・いい戦略とは、やるべきこととやるべきでないことを明示している
・正しい戦略は投資効率を上げ、目的の達成確率を上げる
・戦略に差が出るのは、視点と解釈の違い
・いたずらに戦略を変えてはいけない

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なぜ「戦略」で差がつくのか。』の著者と本を読んだ後のゴール

この本の著者は、音部大輔さん。 P&Gジャパンのマーケティング本部に新卒で入社後、ブランドマネージャーやマーケティングディレクターとして活躍。 その後US本社セントラルチームでイノベーションに関する知識創造プロジェクトのマーケティングサイトを主導。 USから帰国後、ダノンジャパン、ユニリーバ・ジャパン、日産自動車、資生堂など様々な分野でブランドマネジメントやマーケティング組織育成を主導。

現在は、株式会社クー・マーケティング・カンパニーの代表取締役として、CMO固有の能力と経験を提供し、ブランドと組織の成長実現を図っています。

なぜ「戦略」で差がつくのか。』を読むことで、ビジネスは言うに及ばず、今日の1つずつの行動、例えば競馬やプラモデル作成、サッカーなど全てに応用が可能となります。

なぜなら、何を達成すべき「目的」とし、どのような「資源」を使えるのか、少しユニークで気付きにくい視点から再解釈し直し、その「目的」と「資源」から導き出された戦略に固執し続ける精神的な勇敢さを持ち、行動することができるようになるからです。

元P&Gの足立さんの本もオススメ

www.grisoluto.com

『なぜ「戦略」で差がつくのか。』の書評&要約&感想

ビジネスの場に限らず、様々なところで利用される「戦略」という言葉。

〇〇戦略」に基づけば... 「〇〇戦略」を使って...

このように「戦略」という言葉を使うと、「それっぽく」すごいような感じがしませんか?

しかし、実際に「戦略」とはどういった意味か考えたことはありますか?

「戦略」とは「目的」達成のために「資源」をどう利用するかの指針である

タイトル通り、『「戦略」とは「目的」達成のために「資源」をどう利用するかの指針である』と本書では述べられています。

実際に「戦略」という言葉は、「計画」や「目的」や「ヴィジョン/理念」などと混同しがちです。 では、

  • 計画
  • 目的
  • ヴィジョン/理念

とはどのような点が違うのでしょうか。その違いについて考えてみましょう。

「計画」とは、物事を行うために予め決めた方法や手順そのもの。 つまり、「戦略」が「計画」の上位概念になります。 「目的」とは、戦略がその目的達成を助けるものであり、戦略そのものではありません。 つまり、「目的」が「戦略」の上位概念になります。

「ヴィジョン/理念」とは、個人や組織が求める究極的な達成や存在理由を示すものです。

つまり、「ヴィジョン/理念」が「目的」の上位概念になります。

さらに細かくなりますが、ヴィジョンとは特に目的の一形態としての「状態」を表すのに対し、 理念とは特に目的と一形態としての「考え方/指針」を示すことが多いです。

strategy

「戦略」の上位概念である「目的」とは、明確であるべき

「戦略」の上位概念である「目的」であるが、「目的」はなぜ必要なのか?

それは、「目的」を設定することでそれぞれがどこを目指すべきかが明確になり、それゆえ現状の進捗を把握でき、組織・チームを「目的」達成のもとに結束させ、達成確率を上げることができるからである。

いい「目的」には曖昧さがなく、自己目的化した手段であるべきでもない。 つまり、全員が同じように解釈できる明確な「目的」がいい目的なのである。

その目的を決める際の良いフレームワークが2つあるので紹介します。

SMAC,SMART

SMACとは

・Specific(具体的)
・Measurable(測定可能)
・Achievable(達成可能)
・Consistent(一貫性がある)

SMARTとは

・Specific(具体的)
・Measurable(測定可能)
・Achievable(達成可能)
・Relevant(関連性がある)
・Time-bound(期限設定)

さらに2つにそれぞれ、Focus(焦点/集中)を追加したフレームワークを利用することで、明確な目的を設定することが可能になります。

目的が明確でない場合は漫然と行動を起こすのではなく、「この行動がある場合とない場合で何が違いとして発生するか」を考えることで、より目的を明確にブラッシュアップしていくことが可能にあります。

SMACとSMARTに含まれているAchievable(達成可能)ですが、これは決して現状維持や過去の踏襲を推奨しているわけではありません。 あくまでの達成可能なのは、個別の要素(手段や出来事)であり、全体として達成可能かどうかを判断するものではありません。 これを誤解してしまうと、現状から10数%程度の伸びを実現するようなイノベーティブな発想は生まれてこなくなってしまいます。

また目的達成のための局面(プロセス理解)を行うことで、戦略を組み立てていく際に実行可能性の検証や資源の配分がしやすくもなります。

「資源」の解釈によって、無数の戦略を生み出すことができる

目的を解釈し直すことで、目的をよりよく達成しやすくなります。 同様に、資源も再解釈すべきです。

その際に、既存の資源を再解釈するだけでなく、資源として認識しにくいものも広く見直すことで今まで気づかなかった可能性を発見することができ、新たな戦略を生み出すことが可能にあります。

では資源を再解釈するとはどういったことでしょうか。

一般的にわかりやすい資源としては、「お金」や「人」など有形のものが挙げられます。 一方で、無形の「ブランド」や「知識」「経験」も資源として解釈することが可能です。 このように切り口や視点を変えることで、新たな資源を発掘することが可能です。

改めて振り返ると、戦略とは「目的」達成のために「資源」をどのように利用するかです。

つまり新たな「資源」を発掘することで、「目的」達成のための戦略は幅が広がるのです。

また過去の成果は未来への資源へと繋がり、今回の戦略での達成は次回の戦略での資源になるのです。 さらに戦略の策定段階で、今回の戦略実行を通してどのような知見を新しく獲得したいのかを事前に知識獲得計画として立てておくことで、活動の効率を向上させることも可能です。

また自分自身や自社だけでなく、外部資源として代理店や専門家を利用することも考えることができます。 そのような外部資源を最大限に利用するためには、「達成すべき目的と使える資源を明示」し、「奮起できる」ような伝え方をするというブリーフィングの技術が重要になってきます。

このように「資源」と言っても、「内部資源」「外部資源」と分けることができ、また「有形」「無形」と分けることもできます。

資源を解釈し直す際には、「資源をリスト化」して洗い出すこと、「バリューチェーン」から見渡すことなどを意識することで、ヌケモレがなく資源を網羅的に把握することができます

また戦略を考える際には、その時代の「評価基準」を捉えることも重要です。 つまり、潜在的な消費者のニーズをうまく把握し、具現化することで、評価属性を入れ替えることが可能です。

この評価属性の入れ替わりを利用することで、市場創造とも言えるイノベーションをマーケティングが主導することが可能になります。

具体例として洗濯洗剤を考えて見ると、1980年代には「汚れが落ちる」という評価基準が1990年代には「臭いも良くなる」と変化し、2000年代には「環境にも配慮」と変化してきました。

いい戦略とは明文化され、「資源」を最適利用し「目的」を達成へと導く

strategy ここまで「戦略」の定義と、戦略と密接に関わる「目的」「資源」について説明してきました。

では、「いい戦略」とはどのような戦略でしょうか?

いい戦略とは、所定の「資源」を持って「目的」を達成しやすくするものである。再現性を担保し、組織の目的意識を統一し、見えにくい問題を有意識の力を持って顕在化し、パニックを防ぎ、自損事故を防ぎ、不確実性に対する備えとなり、意思決定に固執するための合理的な後押しをしてくれるものである。

「いい戦略」に必要な条件として、明文化されているということが挙げられる。明文化することで、漠然とした無意識の理解を有意識下に置き直すことが可能になる。 そして明文化することで各個人間で意見の統一を図ることができ、有事の際の判断の拠り所とすることができるのです。

また戦略は以下の2つが大きく変わらない限りは、変更する必要はありません。

  • 目的
  • 資源

つまり、達成したい「目的」が変化するか、利用できる「資源」が大きく変化しない限りは当初の戦略に固執することが論理的に正しいのです。 つい不安になり、戦略を検討し直すことがありますが、最も重要な資源の1つである「時間」を既に投資しています。

その「時間」の機会損失を考慮すると、戦略を変更するよりも黙々と実行を重ねていくほうが、最終的には良い結果を生み出します。

戦略は組み立てるものであり、考えるものではない

「いい戦略」の定義がわかったところで、次に戦略の作り方を考えていきたいと思います。

「戦略」は収束的な思考法の過程を採用し、選択と集中をしていく作業になります。

戦略の考え方において最も大きく差が出るのは戦略を構成する材料である「目的」と「資源」の用意の仕方部分であって、戦略を組み立てる作業ではありません。

つまり前章までの述べてきた、「目的」と「資源」が的確に解釈できていれば、実際の戦略の組み立てに創造性は必要ありません。 論理的一貫性をきちんと保ち、間違えないように正確に計算(組み立て)を行うのみなのです。

戦略を組み立てる際のポイントとして、「資源」の「質と量」の問題があります。

質が異なれば、「目的」を達成するために投下する「資源」の量も異なってきます。 その際には、「質」を「量」の係数として捉えることで最終的な効用の量を決定することができます。

戦略の要諦は、「違うことをする」か「違うようにする」かのどちらかです。「違うことをする」前に「考える」のであり、行動の前には思考や考察が必要です。 その「考える」とは「目的」や「資源」の解釈の際に行ってきましたが、「考える」際には新たに入力された情報や以前から記憶に備わっている情報を組み立てていく作業です。

ということは、「違うことをする」「違うようにする」には、前提として違う情報、違う前提を入れることで自然と違うように考えることができます。 つまり、仮定、仮説を変えてみたり、極端な状態を想像してみることで新たな「考える」機会を設けることができます

これらを意識しつつ、「戦略」を組み立てていくことで、選択と集中を測ることができます。

戦略を共有し、管理する

「目的」と「資源」を解釈し、戦略を立てることまで行ってからが本番です。

実際に関係者全員へ戦略を浸透させ、実行し、結果を出す必要があります。

まずは全員が共通の目的理解をする必要があり、同時にそれぞれが投入可能な資源を理解し、各自がどのように戦略の実行に貢献できるかを考え、理解する必要があります。

その際に戦略について質問が来て、答えられない場合もあるでしょう。 しかしそれは恥ずかしいことではなく、ただ「情報が足りなかった」だけのことです。

よって具体的な戦略を示すことで想像しやすくなり、より情報が「出やすくなる」ことが重要になります。

戦略を戦略的に考える

戦略は目的達成のための資源利用の指針です。

つまり、目的と資源の焦点を絞った、あるいは目的と資源を意識した考え方を「戦略的」と呼ぶことができます。

実際に戦略を実行していくと、様々な状況が考えられます。

そのような様々な状況を戦略的にあらかじめ予測することが可能になります。

戦略的に考える方法としては2つあります。

戦略的に考える

・未来から現在を過去としてみる視点
・失敗したという視点

この2つの視点で自らの戦略を振り返ることで、あらゆる情報を前もって想定することができます。

また競合やマーケット情報を戦略的に考えることも可能です。

戦略の定義通り、競合の「目的(動機)」と「資源」を理解することができれば、競合の戦略は測定可能です。

例えば、

  • 今までにない商品の導入をしている
  • 新しい導入の方法を取っている
  • マーケティングの仕方が異なる
  • セールスの仕方が異なる
  • 製造の仕方を変えてきた
  • 企業を買収した
  • 一部の事業部を売却した

という動きがあれば、

なぜ、そんなことをするのか」 「なぜ、そんなことができるのか

と解いていくのです。

まとめ: 『なぜ「戦略」で差がつくのか。』を読んで学んだことと今後

本の要約&ポイント

・戦略とは「目的」達成のための「資源」利用の指針
・いい戦略とは、やるべきこととやるべきでないことを明示している
・正しい戦略は投資効率を上げ、目的の達成確率を上げる
・戦略に差が出るのは、視点と解釈の違い
・いたずらに戦略を変えてはいけない

この本から学んだことは大きく2つあります。

1つ目は、「目的」と「資源」を明確にし、言語化すること。 2つ目は、解釈を変化させ実際に実行し結果を出すことにこだわること。

この2点を学びました。

特にマーケティングの本では、最終的には「顧客の効用のために、徹底的に実行していく」ことが重要であると言われます。

今回のこの本では、それを「戦略」という抽象的ではあるがよく利用される言葉を分かりやすく説明しつつ、上記のような学びも得られました。

少し分厚く、見た目も辞書のようでハードルが高く見えますが、具体例も多くとても勉強になるのでぜひオススメの1冊です。

読んでくださり、ありがとうございました。

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